在宅勤務の罠? テレワーク・デイに思う

今日、7月24日は、総務省、経済産業省ほか多数の民間団体が参加する「日本初の『テレワーク・デイ』」。テレワークとは、「情報通信技術を活用した、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方」。在宅勤務だけでなく、会社でも家庭でもない場所で仕事することも当然含まれる(リモートワーク、という言い方もある)。

個人的な経験で恐縮だが、感慨深いものがある。20年くらい前(1996-97年頃)に、テレワークという言葉を知り、情報収集したところ、「テレワーク研究会」という団体の存在を知り、メンバーに入れてもらった。座長は大西隆先生、当時は東大の先生で、現・豊橋技術科学大学学長。と言っても、私はまったくの幽霊会員で、会合に2、3度出席しただけ。研究会自体も、その数年後に「役割を終えた」ということで終了になったと記憶している。

その頃、自分自身が乳飲み子をかかえ、子供が熱を出した時など、在宅勤務ができればいいなと思ったことが、テレワークに興味をもったきっかけだ。当時は、クラウドはおろか、インターネットも、まだダイアルアップの時代。それでも、会社に行かなくて在宅で勤務できれば、どんなに便利になるだろう、と思わずにはいられなかった。

その約10年後の2007年頃。当時の勤め先を辞めようかどうしようか、と思っていたころ、「在宅勤務にできませんか」と上司に相談したことがある。「会社を辞める」「毎日通い続ける」という、ゼロか1かの選択の間に、何か道はないか、と思っての相談だった。当時の勤め先には在宅勤務制度はなく、上司も「在宅勤務にできる仕事(=編集など)と、会社にこなくてはできない仕事(=管理系の仕事など)があるから、不公平になる。実現は難しい」との回答だった。

翻って現在。テレワークを日常的に行うようになって9年になる。文字通りの「在宅」勤務と、借りている個人用オフィス(シェアオフィスや、個室ありのレンタルオフィスなど、何度か借り換えている)の併用スタイルだ。今となっては、会社員時代の18年間、毎日往復2時間くらいかけて通勤していたことが信じられない。テレワークは、効率的なことは間違いないが、特に在宅での仕事の場合、いくつか気をつけるべき点がある。

・ONとOFFのきりかえ
よく言われることがだが、在宅勤務を毎日続けると、ウィークデーと週末、1日の中でのONとOFFの切り分けが難しくなる。休日や、1日の中のOFFの時間帯に、急ぎの連絡がないか、ちょっとメールを確認するくらいならいいのだが、やっかいな内容のメールを受け取った場合など、ONとOFFの気持ちの切り替えに支障をきたす。
これについては、私自身は、打ち合わせなどが少ない週は、借りているオフィスへの“通勤”を増やしたりするなど、「場所」に変化をつけるようにしている。また、最近は、土日に受け取ったメールでも、月曜対応で時間的に支障のないものは、土日にはあえて対応しないようにしている。(土日に対応していた時期もあったが、現在はそのようにして、意識的にOFFの日、OFFの時間をつくっている。)

・「家にいる人」と家族から思われ、家事負担が増える
これが、想定していなかった“在宅勤務の罠”だ。通常の会社勤務で、物理的に朝から夜までいなければ、その間に家事がされないことは、家族皆が承知している。しかし、いくらフルで仕事をしていても、場所が“在宅”だと、家にいる人と思われて、細かな用事がだんだんと自分の方に押し寄せてくる。
在宅勤務だと、たとえば電話はほとんど鳴らないので、4時間集中して仕事をするなどが可能だ。せっかくのこうした環境を有効活用するために、私はなるべく時間を切りわけるようにしている(お昼の時間帯に家事をするなど)とともに、最近は家事を「やりすぎない」ように心がけている。
これには、メールをOFFの時間帯に見ないのと同じくらいの、意思の強さが必要になるが、同時に、家庭マネジメント力が重要と感じる。これについては、まだまだ課題が多く、日々、試行錯誤している。「在宅勤務」道は奥が深いのである。