Content Inc.はアントレプレナーのためのコンテンツ・マーケティングの教科書

Joe Pulizzi(米国のContent Marketing Instituteの創始者)の近著「Content Inc. 」は、アントレプレナー、スモールビジネス・オーナーのための、コンテンツ・マーケティングの教科書だ。

Joe Pulizziの前著、「Epic Content Marketing」は、どちらかというと、大企業向けのコンテンツ・マーケティングの教科書だった。その証拠、というわけではないが、序文はSAPのMichael Brennerが寄せている。(大企業が)見込み客に出会うための手法として、コンテンツ・マーケティングの有用性や、組織としての運用体制にページを割いている(コンテンツ・マーケティングって何?という人のために、その歴史等々にもふれられている)。ブランディングといえば、テレビCMや新聞広告が常套手段だった大企業にとって、オウンド・メディア(自社媒体)をプラットフォームにするコンテンツ・マーケティングは発想の大転換を促すものであり、すべての大企業がコンテンツ・マーケティングに舵をきれば、広告産業やコンテンツ産業に大激震が起こることだろう(今のところ、ゆるやかな移行のようだ)。

一方、今回の「Content Inc. 」は、明確に、スタートアップやスモールビジネスに焦点を絞っている。Joe Pulizzi自身が、Content Marketing Instituteを創業しているので、書きやすい面はあっただろう。そして、会社の規模を大きくしていく上でエバンジェリスト・ユーザーが何より大事なスタートアップにとって、コンテンツ・マーケティングは、大企業におけるブランディング以上の意味をもつとも言える。

日本でも、たとえば、ライフネット生命などは、会長の出口治明さん、社長の岩瀬大輔さんが、立ち上げの初期の頃から、ブログなどオウンド・メディアをきわめて有効に使い、また、リアルでの講演会などと組み合わせて、実に巧みにコンテンツ・マーケティングを展開している(「Content Inc. 」のなかでも、そうした、複数の手法の組み合わせの大切さに触れられている)。

ただ一つ、長年、編集の仕事に携わってきた私から、アントレプレナーの方々への忠告がある。コンテンツのうち、書籍(執筆)については、用心が必要だ。なぜなら、書籍執筆は多大な労力を要するから。全速力で駆け抜けなければならないタイミング、時間が何より大事なときに、書籍執筆に150時間とか200時間を超えるような時間をかけることは、命とりとなりかねない。そして、本気で書籍を書いたことのある方ならお分かりの通り、本を1冊書くと、抜け殻のようになってしまうから……。

少し脱線してしまったが、「Content Inc. 」は、スタートアップや中小企業が、エバンジェリスト・ユーザーやロイヤル・カスタマーを築く上で、「コンテンツ」がカギとなることを教えてくれる、最重要テキストと言えるだろう。(それにしても、「Epic Content Marketing」といい、「Content Inc. 」といい、タイトルが秀逸すぎで、ため息が出る。。)

Content Inc.: How Entrepreneurs Use Content to Build Massive Audiences and Create Radically  Successful Businesses

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