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国際女性ビジネス会議

言葉

 今日の朝8時から開催された第16回国際女性ビジネス会議に参加してきました。いろいろな刺激を受けたので、講師の方々のお話のうち、とくに印象的だった言葉をメモしておきます。

  • まず冒頭に、実行委員長の佐々木かをりさん(イー・ウーマン社長)から、3.11の震災に関連して、「支援の形」として、「場を共有する」ということもあるのではというお話がありました。「場の共有」は、ほかの方々のお話にも出てきて、この会議を通じてのキーワードであると感じました(公式キャッチフレーズは「Acting and Connecting Beyond Borders」)。
  • 続いては、石黒不二代さん(ネットイヤーグループCEO)の「シリコンバレー流、発想と行動の新しいカタチ」という講演。個人的に印象深かったのは、80年代に成功したビジネスは「Great Idea」に基づくもので「What」が重要だったが、90年代に成功したビジネスは「Method Business」で「How」が重要、というお話です。この流れは、十数年遅れで、今日本に来ているように思います。そして石黒さんが強調していたのは、「失敗をおそれるな」ということと、「好きなことをやりなさい(Do whatever you like.)」。ただし、「好き」には責任が伴って、「Make a commitment what you want to do.」「Take full responsibility to what you want to do.」。
  • 三番目の講演者、荒井由希子さん(国連ILOジュネーブ本部多国籍企業局シニア・スペシャリスト)は、多国籍企業のグローバルサプライチェーンの末端に、児童労働がある場合があり、それをなくしていくための調査・実践をされている方でした。西アフリカで荒井さん自身が取り組まれた事例を話してくださったのですが、そこで多国籍企業と、現地の政治リーダーたちを一同に集める「場づくり」を行い、お互いに長期的利益になるような話し合いができた、ということでした。単に「調査」に終わらせずに、「メカニズム」を解明し、「国と企業のwin-winのモデルづくり」というアクションにつなげたところが、素晴らしいと思いました。(アクションというのも、この会議全体を通してのもうひとつのキーワードでした。)
  • 次の、石倉洋子先生(慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授)と、黒川清先生(政策研究大学院大学教授)の対談は、「ボーダーを超える発想」がテーマ。まず、「ボーダーを超える」とはどういうことか、という話で、黒川先生は「場所を変える」「違う世界の人と会う」。石倉先生は、「分野を超える」。石倉先生のお話で印象深かったのは、あのいつも元気な石倉先生が、一橋大学ビジネススクールから慶應のメディアデザイン研究科に移ったときに、最初はとまどって、2ヶ月間ぐらい鬱々として、世界が灰色にみえた、ということ。その後、元気がでない理由を箇条書きにしているうちに、原因がわかって、無事、問題解決に向かわれたとのこと。「ボーダーを超えると最初はひるむもの」(これは私自身にも経験があります)。最後に黒川先生がおっしゃっていたのは「強みにフォーカスしなさい」。石倉先生は「Tryしてみると、50%は失敗するかもしれないけれど、やらないことには何も変わらない。」
  • 続いては、スペシャル10分トークということで、仙台市奥山恵美子市長が登壇され、仙台の3.11以後のお話をされました(お話がすごく上手な市長さんでした)。まず強調されていたのは、「『絆』ということが言われたけれど、それはなまぬるい(理想主義的な)ものではなく、お金に全く価値のない社会が生まれたときに、拠り所となるのは人間関係だけ」というリアリズムにもとづくものであるということ。そして、そういうときに力を発揮するのは男性より女性で、女性たちは避難所でもお互いに情報交換しあって、「どこにいけば水がいちばんはやく手に入るか」といった必須の情報を得ていたとのこと。危機で「なんとかしなくちゃ」というときに、女性の方が対応力があり、粘り強い、というお話は頷けるものでした。印象深かったのは、「災害時には公平が保てない」「ふだんは公平性の担保が公的機関の至上命題なので、忸怩たるものがあった」という言葉です。初期は10万人(仙台市の避難者の総数)に1日3食、計30万食を右から左に流していくだけで手いっぱいで、ある避難所には豆腐だけ1000丁届き、ある避難所にはデザートだけ届く、といったことが起きてお叱りを受けたそうです。また、以前からのネットワーク(人間関係)の有無(仙台市の場合は、横浜市との市長どうしのつながり、横浜市とフランクフルト市のつながりを利用できた)が危機のときに生きてくる、というお話も、納得できるものでした。
  • 最後の講演者は佐藤尚之さん(コミュニケーションディレクター)。3.11のときのウェブサイト「助けあいジャパン」をどのようにしてつくったか、というお話をまくらに、「ソーシャルネットワークは関与する生活者をつなげ強くしていく」という話をされました。ソーシャルメディアにより、それぞれのコミュニティのアクションする人達が横につながること、ソーシャルメディアにより一人の人間の持つ複数の属性が可視化されることにより、「口コミ」の時代とは次元の違う拡散力が生まれたこと。最後のまとめとしておっしゃっていたのは、「ソーシャルメディアは動くプラットフォーム。志を同じくした人がいろんな場所からいろんな職能を生かしてかかわれるようになる、壁をこえる装置」というものでした。「職能を生かして」というのは、先の黒川先生の話の、「強みを生かす」とも重なり、これももう1つのキーワードでした。


 これら全体会議のあとに、私は「こんな楽しい毎日が。〜未来をつくる発想と新技術」という分科会に参加しました。講師は、速水浩平さん(「音力発電」という、音力や振動力での発電を製品につなげる大学発ベンチャーの代表)、松井龍哉さん(フラワー・ロボティクス代表、フラワー・ロボットという、お花を渡す機能に特化した3歳の女の子のロボットの開発や、スターフライヤーの真っ黒な飛行機のデザインをした方)でした。モデレーターは慶應メディアデザイン研究科の古川亨先生。速水さん、松井さんとも、スティーブ・ジョブズ型の、デザインとテクノロジーが混然一体となった開発をされている、天才肌の方たちであることが伺われました(特に、松井さんのカリスマ性はまさに日本のジョブズといった感じ)。
 参加した分科会はとても充実したものでしたが、1つの分科会にしか参加できなかったのが少し心残りでした(いずれ、上記「国際女性ビジネス会議」のサイトにアップされるようなので、それを待ちたいと思います)。

 分科会のあとの懇親会の会場も熱気に包まれて、1時間あまりの時間があっという間に感じられ、女性たちのパワーを改めて感じた、充実した1日でした。