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「わかりやすさ」がなぜ大事なのか

 以前にも書いたことがありますが、私は、編集の役割の一つは、「わかりやすく伝えること」だと思っています。「わかりやすさ」というのは、読み手や、聞き手の中にいるであろう、予備知識がない人に対しての敬意の現れであり、「伝える」ということが本質的にはらむ民主主義的な性格を最大限に発揮するために、不可欠なことだと考えています。
 さて、わかりやすく伝えるには、大きく分けて、二つの側面があります。一つは、文章・文書の構造を、理解しやすい・すっと頭に入る順序にすること。叙述の順番に気をつけることと同時に、最初のほうで、「どのような世界のどの部分を語っているのか」という、地図的な見取り図も示すことも大事です。
 もう一つは、専門用語を極力排し、わかりやすい言葉を使うこと。英字新聞の「Japan Times」では、「今日はじめて成田に降り立った、日本についての予備知識のない外国人が、Japan Timesを読んで、そこに書いてある日本のニュースを理解できるように書け」というようなルールがあると聞いたことがあります。また、うろ覚えなのですが、たしか Wall Street Journalにも、「初めて読んだ人にもわかるように書け」というようなルールがあると聞いたことがあります。経済用語はとくにわかりにくいので、こうしたルールを意識的に設けているのでしょう。
 企業のメッセージなども、ちょっと油断すると、「アカウンタビリティを重視しつつもコンプライアンスにより云々…」などと、カタカナだらけで、意味不明のものになりがちです。そうしたときに、少し立ち止まって、読み手の立場で考えてみると、違った表現の仕方が浮かんでくるのではないでしょうか。
 
*編集コミュニケーション研究会セミナー(2月16日)、
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