第三の場所

・・・それは、レイ・オルデンバーグが提唱した「サードプレイス(第三の場所)」という概念です。
 「サードプレイス」とは家(必要不可欠な第一の場所)と職場(必要不可欠な第二の場所)に加え、都市に暮らす人々にとっての「必要不可欠な第三の場所」を意味します。オルデンバーグは、「サードプレイス」の代表例として、イギリスのパブ、フランスのカフェ等を挙げ、それらが自由でリラックスした雰囲気の対話を促進し、都市生活における良好な人間関係を産み出す重要な空間であると主張しています。(中略)
 ではパブやカフェに代表される、人々の対話を促進する「サードプレイス」とは、どのような空間でしょうか。オルデンバーグは、その特徴を「インフォーマルでパブリックな営み」を促進する場と表現しています。「インフォーマル」とは他者に強制されない、個人の自由意志にもとづく行動を意味します。また、パブリックとはひとりで行う活動ではなく、他者とのかかわりの中で行う活動という意味です。
――中原淳・長岡健『ダイアローグ 対話する組織』(ダイヤモンド社、2009年2月、p.203〜204)

 上記の引用部分と同じページに、次のようなマトリックスが掲げられている。横軸の+方向が「フォーマル」、−方向が「インフォーマル」。縦軸の+方向が「パブリック」、−方向が「プライベート」。そのマトリックスの右上(フォーマル&パブリック)が「第二の場所」で、「職場」がマッピングされ、左下(インフォーマル&プライベート)が「第一の場所」で、「家」がマッピングされている。そして、左上の、「強制されずに(インフォーマル)他者とかかわる(パブリック)」場所が、「第三の場所」というわけだ。 
 長い引用になってしまったが、最近、この「サードプレイス(第三の場所)」という概念に惹かれている。ウェブ上でのつながりは、この「サードプレイス」なのではないか、と思っているのと、最近参加したいくつかのワークショップが、まさにそのような場所であったからだ。
 ちなみに、同書によれば、オルデンバーグ(Oldenburg)が、「The Great Good Place: Cafes, Coffee Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons, and Other Hangouts at the Heart of a Community」という書物でこの概念を紹介したのは1989年。インターネット(WWW)以前のことである。
 なぜ”最近”「サードプレイス」に惹かれているかを改めて自己分析すると、一つには、自営業的ワークスタイルに変えたことにより、「第一の場所」(家)と「第二の場所」(職場)がほぼ一体化しているということがある。以前は、「第一の場所」と「第二の場所」を毎日ひたすら往復していて、「第三の場所」に向かう時間的・肉体的・精神的余裕があまりなかった(子供の保育園の送り迎えをしていた頃はとくに)。それが自営業化によって、なにがしかの余裕と、いろいろな人に会いたいという気持ちが生まれたこと。
 そして、もう一つの理由として、やはり、梅田望夫さんいうところの「志向性の共同体」(まさに「サードプレイス」)がウェブ上にできてきたことが大きい。(リアルの「ワークショップ」なども、単にそのとき集まって終わり、ではなく、その後ネットを使ったコミュニケーションが継続することが多い。)
 ことし11月に開催が予定されている「シュンポシオン横浜2009」も、私にとって、とても大事な「サードプレイス」である。去年も多くの方と出会うことができたが、今年どのような出会いがあり、どんな新しい学びがあるか、今から本当に楽しみにしている。

ダイアローグ 対話する組織

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