希望の生まれる場所

僕は考えた――希望とは本来あるとも言えないし、ないとも言えない。これはちょうど地上の道のようなもの、実は地上に本来道はないが、歩く人が多くなると、道ができるのだ。
魯迅「故郷」(藤井省三訳『故郷/阿Q正伝』所収、光文社古典新訳文庫)

魯迅の短編小説、「故郷」を締めくくる一節である。
この言葉を思い出したのは、今日、素晴らしいブログ・エントリ「限界とそして希望:日本にもシリコンバレーを!!!」を読み、深く心を動かされたから。

すでにご存じの人が多いと思うが、当ブログでもとりあげた梅田望夫さんの『シリコンバレーから将棋を観る』をめぐって、驚くべき現象がおきている。英訳、仏訳のオープンソース翻訳プロジェクトが立ち上がったのである(経緯については、梅田さんのブログの、こことか、こことか、ここ参照)。
その英語版のほうは4月29日に立ち上がって、畏るべきことに、5月5日には終わりまで到達したという。その「みんなで丸ごと英訳」プロジェクト発案者であるid:shotayakushijiさんは上記ブログ・エントリ「限界とそして希望」でこう書く。

僕たちは日本のウェブを明るくしたいんです。揚げ足取りのネガティブなウェブから高め合いのポジティブなウェブへ。ここまで当プロジェクトがやってきたのは、ポジティブな風を少しでも吹き込めるようにするための土台作りです。もう一回言います、「土台作り」です。所詮「土台」です。でも土台がなければ建物は立たない。だから僕たちはゴールデンウィークを丸々費やして急いで土台を作った。高め合いのポジティブなウェブ(Wisdom of Crowds)、という「建物」を立てるために。プロジェクトメンバーだけでは数が少なすぎで、到底「建物」は立てられない。だからせめてその土台となる公開用の仮の翻訳を急いで仕上げたかった。
ここまでだらだらと書いてきた、急いで公開する理由、まとめるとこうです。
「十数名のメンバーではできることに限界がある。でも、1億2千万人のメンバーができることには希望がある」
日本はもう立ち直れないと思う。
なんて言われて悔しいじゃないですか。僕はまだ立ち直れないなんて信じたくない。Wisdom of Crowdsの風が吹き荒れてが日本を救う、そんな日が来ることを信じたい。

こういう言葉を若い人たちから聴きたいとずっとずっと思っていた気がする。同プロジェクトのメンバーの平均年齢は21歳くらいだという。こういう若者たちがいる限り、日本は大丈夫。道なきところを最初に切り拓き踏み固め、「土台」を作った若者たちの志に、何よりの希望を感じる。