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「人生の輝ける瞬間」と、長く静かなるドラマ

I’m content with the way I look. What’s wrong with looking like Susan Boyle? What’s the matter with that?”
timesonlineのSusan Boyleインタビューより

スーザン・ボイル。もはや、全世界で3200万人以上(4月11日〜20日現在)がユーチューブ映像を見ているから、説明は要すまい。彼女の歌声そのものと、審査員3人の、「歌う前」「歌い始めた後」の表情が、何よりも雄弁に「スター誕生」のドラマを物語っている。
そのスーザン・ボイルのインタビューを19日付のtimesonlineで読んだ。
スコットランドの田舎町で、大家族のなかで育ったこと(10人兄弟の末っ子)。難産の末に生まれ、その後遺症で軽い学習障害があり、学校時代にはいじめられたこと。でも、家族の中ではしっかり居場所を確保し、12歳のときに、学校の先生が歌の才能を見抜き、それ以来、教会のコーラスなど、地元のいろいろな場で歌を歌い続けてきたこと。そんな彼女の半生がインタビュー記事には綴られている。
彼女の歌の才能を誰よりも応援してくれたのは、2年前に91歳で亡くなるまで同居していたお母さんであり、お母さんが、亡くなる前にくだんのオーディション番組(Britain’s Got Talent)への出演を勧めてくれていたという。
かつては大学の食堂などで働いてきたが、現在は、教会のボランティアをしながら、趣味の読書やテレビ鑑賞を楽しみ、猫と暮らす。その静かな生活が、オーディション番組(とユーチューブの全世界からの視聴)を境に一変したことを、記事は伝えているが、それでも彼女は生まれ育った町を離れたくないという。
ユーチューブ映像が伝える、彼女が歌い始めた瞬間は、まさに、彼女の「人生の輝ける瞬間」であったと思う。けれども、「私は私よ。スーザン・ボイルらしくしていて何が悪いの?」と語る彼女のそれまでの47年の人生にも、長く静かなるドラマを感じるのである。