何気ない言葉でも

数年前、仕事で心身ともに疲労が重なっていたある日、近所のスーパーのレジの前に立つと、レジを打っている女性が、

大分お疲れのようですね。

と、一言声をかけてくださった。一瞬驚いたが、心底嬉しかった。私の方は無言で頷くことしかできなかったが、レジ台をはさんで、というシチュエーションでなければ、「そうなんです。すごく疲れているんです」と語り始めてしまったかもしれない。
「大分お疲れのようですね」というのは、文字で書いてみれば、何の変哲もない、何気ない言葉だ。でも、断崖絶壁から落ちそうになっているのを、ふっと支えてもらったような思いがした。
言葉をかけてもらう、話を聞いてもらう、あるいは、関心を持ってもらう。それが、誰にとっても日常を生き抜くエネルギーになる。そのことに、もっと敏感になりたいと思う。